2階 現存する動物たち

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マッコウクジラ Sperm whale Physeter macrocephalus

マッコウクジラ

 マッコウクジラは雌でも体長約11m、雄では20m近くに達し、現存するハクジラの仲間では最大の大きさを誇る。体の約30〜40%に及ぶ巨大な頭部には油脂が詰まっており、潜水や浮上の際の浮力調整や、通常のエコロケーション以外に彼らの声(音)を増幅し、獲物を気絶させるために働いているとする説もある。下あごには尖った円錐形の歯が並ぶ。40分から1時間以上にわたり、水深400m、時には3000m近くまで潜り、主にイカ類や深海の魚類を捕食している。
 雌は固い絆の群れを守り一生そこに留まるが、雄は6歳頃に群れを出て、より高緯度の海域で成長し、群れを渡りながら繁殖活動を行う。
 写真は成熟した雄がまさに深海に向かうところ。頭部に見られる無数の白い線は、雌をめぐって争った際に、相手の下あごの歯によって負った傷である。
 現在は禁止されているが、18世紀ころから、油脂や香料を目的とした捕鯨が始まり、20世紀には著しく個体数を減らしてしまった。
 国際自然保護連合レッドデータブックの危急種に指定され、ワシントン条約で付属書1に記載されている。

主な参考文献
■ M.W.マクドナルド編 1986『動物大百科 第2巻』平凡社
■ 水口博也 1988 『クジラ・イルカ大百科』 TBSブリタニカ
■ 大隅清治編 1992 週刊朝日百科『動物たちの地球52』 朝日新聞社
■ 今泉忠明・小宮輝之監修 2002 学研の大図鑑『世界絶滅危機動物』 学習研究社


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