今回は特定の時期に限定せず、縄文時代の各要素を組み合わせていますが、気分としては縄文時代前期、約5500年前の少年を想定しています。もっとも例えば15歳くらいなら、もう大人と見られていたかもしれません。 弓は出土しているイヌガヤの丸木弓を想定。矢羽根は悩みつつも2枚に。矢筒は管見では出土例がありませんが、必要だったでしょうね。矢じりは黒曜石を再現しました。腰にはチャートという石で作った石器(石匙・万能のナイフと言われる)を携帯させています。 縄文時代の犬は、いくつかの出土例がありますが、多くは小型で、現代の日本犬よりも額から鼻のストップが比較的平坦なことが特徴です。体色は証拠がありませんが、甲斐犬などに見られる虎毛にしました。遺伝的には北海道犬や琉球犬に近いと考えられています。 作り方はいつもの通りで、基本的に石粉粘土(ファンド)で作った後、アクリル絵の具の筆塗りです仕上げています。弦などの一部は紙ヒモで再現。また地面の枯葉や小枝は、実物を細かくして使っています。クマザサは紙ヒモを切り出して着色。秋冬なので白いフチドリありとしてみました。 それにしても、人間は難しい。特に顔は、課題が多いですね。 なお、この作品は2011年「東京国立博物館」の特集陳列「石に魅せられた先史時代の人びと」にて展示されました。